「葬儀業界で長年働きながら、時代とともに葬儀が少しずつ変わっていくのを一番近くで見てきました。だからこそ、葬儀には人一倍思い入れがあります。」
そう語るのは、株式会社Swellの代表、坂元充(さかもと・みつる)。葬儀の縮小化で、人と人とのつながりまでもがなくなっていっていくことに違和感を感じ、もっと人生の最後の瞬間に光をあてたいと「itowa(イトワ)」を立ち上げた。今回の記事では、itowaに託した想いをインタビューした。
坂元 充 (さかもと・みつる)
株式会社Swell 代表取締役社長
2005年に大手冠婚葬祭会社に就職。15年間葬儀会社で葬祭業および生花関連部門に携わる。当時は葬儀全盛期で、大人数で豪華な祭壇を飾り見送る葬儀が主流だったが、2010年以降に葬儀会社が価格競争に入り、小さな葬儀会社がいくつも現れ葬儀も縮小化。さらにコロナ禍で葬儀に誰も来ないという状態を経験した。葬儀の変化を現場で感じながら、人と人のつながりが失われていくことに疑問を感じ、葬儀会社を退職。2020年4月に株式会社Swellを設立し、「itowa」や、「はなテック」など葬儀業界に関係するデジタルプラットフォーム事業を手がける。
itowaとはどんなサービスなのか?
坂元 充(以下 坂元):itowaは、訃報を受けた際に、弔電・香典・お供物・供花をワンストップで手配できる葬儀に特化したサービスです。
itowaを利用すると、お世話になった方の最後に、いつでも、どこからでも、想いを届けることができます。遠方やコロナ禍を理由に葬儀への参列が叶わなくても、弔意を「カタチ」にして送ることができ、故人への感謝の気持ちや弔意を伝えることが可能です。
itowaがオンラインで提供するサービスは、
- 故人を偲び言葉を添える「弔電」
- 弔意をカタチで送る「香典」や「お供物」
- 故人の旅立ちに花を添える「供花」
- いつでも故人を偲べる「贈り物アルバム」
とさまざまな方法で弔意を伝えることができます。
コロナ禍の昨今では、3密になりやすい葬儀はどんどん縮小され、家族葬が主流となり「訃報を受けても駆けつけられない」といったこともよく耳にするようになりました。
「お世話になった方の訃報に接し何もできることがない。せめて想いだけでも届けたい。」という願いを叶えるために、itowaが生まれました。
itowaのサービスについて、詳しくは「itowaでできること|使い方やサービス内容を解説」の記事をご覧ください。
itowaが生まれたのは「もっと人とのつながりを大切にしたい」という想いから
坂元:itowaができた背景は、葬儀がどんどん縮小化されていく中で、「人と人とのつながりまで小さくしたくない」と思ったことがきっかけです。
私は葬儀業界に15年間ほどいましたが、大勢で集まって見送る盛大な葬儀から、コロナ禍で誰も来ない小さな葬儀まで「葬儀の姿」が変わっていく様子を現場で見てきました。その中で危機感を感じたことが、「人と人とのつながりの簡素化」です。
以前は、葬儀といえば大きな会場で大勢の参列者と豪華な祭壇で見送る形が主流でした。しかし、今では家族葬などの少人数の葬儀の方が多く、故人を近親者のみで見送ることが増えているのが現状です。
時代の流れとともに葬儀の形が変わっていくのは仕方のないことだと思います。しかし、葬儀の縮小化とともに、人とのつながりまで小さくなってしまうのは、何とかしなければという想いからitowaのサービスをはじめました。
itowaが目指すのは「人と人とのつながりがある葬儀を叶えること」
坂元:日本は、世界に先駆けた超高齢社会で、全人口の28.8%が65歳以上の高齢者です。今後、日本では「葬儀」がもっと身近なものになっていきます。リモートやオンラインが当たり前になった今、アナログな葬儀業界にも、もっと積極的にデジタルを取り入れて人と人とのつながりをオンラインでもつないでいくべきだと思っています。
デジタルを葬儀に取り入れることで、LINEなどのSNSツールで訃報をより多くの人へ伝えることができたり、スマートフォンからいつでも、どこからでも弔電や香典を送って弔意を伝えられます。
私たちは、葬儀業界を変えるのではなく、ITで葬儀のカタチを発展させることで、人と人とのつながりを大切にしていきます。オンラインでもつながれることで、人生の最後である葬儀により多くの光を当てられ、故人を偲びみんなで見送る「本来の葬儀のあるべき姿」を実現できると思います。
どこからでも弔意を伝えられて、いつでも偲べる場所。
それが、itowaです。
ライター/フン友季子